一口に植物油と言ってもお店の売り場やネット通販サイトでは様々な種類のものが売られています。
価格はもちろん、作るお料理や機能性、または話題になっているものなどで選ぶことが多いと思いますが、「作り方」で選んでみるのもいかがでしょうか。
【植物油の作り方】
一般的には原料となる「種子」や「実」をすり潰すなどして搾って(しぼって)油を出し、不純物や「におい」を取り除くなどの精製工程を経て作られます。
このコラムではさらに「植物油の搾り方」に注目したいと思います。
【植物油の搾り方】
原料となる「種子」や「実」に圧力を加えてぎゅっとすり潰し、それらに含まれる油を搾り出すことを「圧搾(あっさく)」といいます。昔ながらの伝統的な搾油方法であり、圧搾のみの油は「一番搾り」とも呼ばれます。
では「二番搾り」などといった油はあるのでしょうか。
【溶剤抽出製法】
圧搾されたあとの原料にはまだ搾りきれなかった油分が含まれています。この残った油を効率よく取り出すために、ヘキサンなどの溶剤が使われます。
圧搾されたあとの原料にはまだ搾りきれなかった油分が含まれています。この残った油を効率よく取り出すために、ヘキサンなどの溶剤が使われます。
例えばヘキサンは無色透明の液体で、灯油のようなにおいがする溶剤です。ヘキサンを圧搾された後の原料に混ぜると、原料から油が溶け出してきます。
このままではヘキサンに油が混ざった状態ですが、ヘキサンは沸騰する温度が低いので、熱をかけると揮発し簡単にすべてを取り除くことができます。
なお、ヘキサン自体は食品添加物扱いとなりますが、最後に完全に取り除かれるため加工助剤となり、商品の一括表示などに記載されることはありません。
このような溶剤を使って油を取り出す方法を「抽出法」と言います。
また、圧搾されたあとに抽出した油は「二番搾り」と呼ばれることがあります。
一般的な植物油は抽出法で搾られた油が混ぜられるものもあります。圧搾だけではコスト的に高くなってしまいますが、効率よくかつ原料から油のほとんどを搾り出すことのできる抽出法の油はコストを抑えることができ、安く販売することが可能となります。
お財布にはやさしい抽出法の植物油ですが、昨今問題にされている「トランス脂肪酸」とも関係しています。
次回のコラムでは「トランス脂肪酸」についてと、「抽出法」とトランス脂肪酸の関係についてお話ししたいと思います。