健康コラム

Health column

目に良い食べもの

電子機器の使用頻度や時間が増えている今だからこそ気をつけたい目のトラブル

健康コラム

 真夏の猛暑から比べると涼しい陽気になってきたころですが、今年の夏は、猛暑で外出を極力控え、自宅で、タブレットやスマホ、パソコンと、電子機器の使用が多かった方も少なくはないのではないでしょうか?今年は、電子機器の使用頻度が増え、子供たちの近視や強い紫外線による眼精トラブルが相次いでいるとの事です。

 そこで今回は、目に良い食べものをご紹介すると同時に、今だからこそ気を付けて頂きたい眼のトラブルについて解説していきます。

今だからこそ気を付けたい眼のトラブル

 身体の筋肉は使わないと衰えるの同じように、「眼(眼球)」も日常的に動かしておかないと、眼を動かす筋肉の働きが弱くなり、様々なトラブルが起こります。特に1日の中で多くの時間をデスクワークやスマホの使用に費やす現代人、スマホゲームにSNS利用で一点ばかりを見つめている子供たちと、老若男女、眼球は動くどころか、狭い範囲をずーっと直視し続け、いわゆる怠けた状態になっていると近視などのトラブルが増えてきます。

 また、年を重ねると、毛様体筋という筋肉が衰えることで、近くのものが見えにくくなる老眼が始まり、眼を細めたり、眼から離して細かな字を読むといった、誰もが必ず「困る」瞬間が起こる事になります。

目に良い食べものとは

 眼の見えやすさ、トラブルは、人それぞれ早い方もいれば遅い方もいらっしゃいます。では、一般的に目に良いとされている食べものは、どのような働きがあるのでしょうか。

ブルーベリー・ビルベリー

 ブルーベリーやビルベリーが眼に良いと言われるのは、ポリフェノール成分である「アントシアニン」が含まれているからです。

 私たちは、眼で見たものを脳で「見える」と認識させるために、たんぱく質「ロドプシン」の分解・合成を繰り返して脳へ電気信号を送っています。

 アントシアニンはロドプシンの再合成に関わっており、視覚の働きを助け、加齢に伴って再合成力が衰えるロドプシン生産を継続的にサポートする働きがあります。

カシス

 カシスが眼に良いと言われるのは、ビタミンやミネラル、アントシアニンなどが豊富に含まれ、カシス特有のアントシアニンは、末梢血管の血流を良くする働きがあると考えられており、緑内障の予防や眼精疲労の緩和、目のピント調節・クマの改善が期待されているからです。

 特にピント調節の機能は、遠くのものや近くのものを見る際に必要となる機能で、眼球の中にある「毛様体筋」という筋肉が収縮を繰り返し、眼球の水晶体の厚みを変える役割を担っているます。この収縮により水晶体の厚みが変わり、近くのもの、遠くのものを見る際に、自動的に焦点を合わせていますが、加齢に伴い、毛様体筋が固くなると、近くのものが見えにくくなるのを老眼と呼んでいます。この毛様体筋を柔らかくするのにカシス特有のアントシアニンが有効と考えられています。

八つ目うなぎ

 八つ目うなぎは、寒い地域の河川に生息する細長い生き物です。

 日本なら、北海道の石狩川が有名で、その他青森県や秋田県・山形県・新潟県などで確認されています。全長は、平均すれば40~50センチを超えるくらいで、どこから見てもウナギなのですが、体側に7つの目立つ穴=エラの穴が開いています。これが目玉に見えるので、本当の目と合計して、8つ目=八つ目うなぎと呼ばれています。

 八つ目うなぎには、人の身体にプラスに働く栄養素が、多く含まれています。特にビタミンAは、視力を良くするのに効果的です。八つ目うなぎを食べて夜盲症の対処をしたと歴史書には記されています。その歴史書とは、江戸時代に諸国を漫遊したことで知られている水戸藩の徳川光圀が書いた医学書で、また脂質の代謝にも有効とされていて、八つ目うなぎの脂が代謝を向上する効果があるようなのです。また、DHAやEPAも含まれているので、生活習慣病が気になる方には、耳よりな話といえるでしょう。

目薬の木

 目薬の木の樹皮や葉より抽出されたメグスリノキエキスは、眼病に対する効果や、肝機能をする効果があるとして、古くから民間薬として使用されてきました。目薬の木は、日本国内にのみ自生する固有種で、「飲む目薬」としても知られています。メグスリノキエキスは、古くから眼病に効果的があるとして民間の洗眼薬としても親しまれてきました。

 これはタンニン成分であるゲライニンが細菌の増殖を抑える抗菌作用や傷を修復させる収斂(しゅうれん)作用を持っており、流行性角結膜炎やものもらい(麦粒腫)、花粉症などによる目のかゆみであるアレルギー性結膜炎、目やに、かすみ目に効果的だといわれています。

 また、肝機能の強化にも役立つとされています。目薬の木の樹皮や葉に含まれるロドデンドロールの働きにより、肝臓の解毒作用が活発になることからこの効果が知られています。

 そもそも、肝臓と目の関係は古くから肝臓と目は密接な関係にあるといわれており、肝臓の機能が回復することで、目の機能も回復するといわれています。中国では、「肝は目を穿(うが)つ」という言葉があり、中国医学の古典「傷寒論」や「素問」、「霊枢」などには「肝気は目に通ず、肝和すればすなわち、目は能く五色を分かつなり」(肝は目を通して外界と交流し、ものを見る目の機能に反映される。肝の働きが衰えると目が疲れやすくなり、逆に目を酷使すると肝の機能を損なうこともある)という記述があるほど、経験的に肝臓と目の関係性が知られていました。

 漢方で目の治療を行う際に、目そのものではなく肝臓の機能を強化する処方を用いるのは、このことからだといわれています。

 肝機能が活性化することで、解毒作用が活発になり、虚弱体質が改善され、目の機能にも影響を及ぼすことから、メグスリノキエキスは、目と肝臓に良いといわれているのです。

ルテイン

 ルテインは緑黄色野菜に多く含まれるカロテノイドの一種であり、赤色の脂溶性色素になります。人の身体には眼や皮膚、乳房組織、母乳、子宮頸部、脳に存在しており、特に眼には多くのルテインが存在します。体内でつくることはできませんので、食事から毎日摂取することが重要です。

 ルテインは眼の黄斑部や水晶体に多く存在します。不足すると、黄斑変性や白内障などの眼の老化が起こりやすくなるといわれています。ルテインは抗酸化物質として眼の老化をひきおこす「活性酸素」を抑えたり、有害な光を吸収し、眼を守る働きをしています。ルテインを継続的に摂取することで加齢性眼疾患のリスクを軽減すると報告されています。

 ルテインには、有害光線を吸収する働きがあります。 有害光線は、青色や紫色で、ルテインの黄色と補色(反対色)の関係にあります。 つまり、ルテインは補色関係にあるブルーライトやHEVといった有害光線を吸収して青色や紫色ではなく、黄色く見えるようにしてくれるのです。