「自然食品」といえば「胚芽」・「葉緑素」・「酵母」の3つが、かつては基本とされていました。いずれも体によさそうなイメージがありますが、今回は「胚芽」について見ていきたいと思います。
胚芽とは
胚芽は植物種子の内部において、成長して芽になる部分の事を言います。
種子と言いましたが、私たちの主食である米や小麦の粒も種子であり、もともとは外皮や胚芽も含まれています。外皮は米においては別名「ぬか」、小麦においては「ふすま」と呼ばれています。一般的には食べやすくするため外皮をむき、「胚乳」部分だけを食します(胚乳は粒全体の約8割を占めています)。
外皮を取り除く際、胚芽も一緒に取り除かれてしまいます。しかしながら粒全体の2~3%の部分でしかない胚芽は、芽を出す部分のため、実は栄養豊富なのです。
胚芽に含まれる栄養成分
米ぬかから取り出される胚芽(玄米胚芽)には、食物繊維、鉄、亜鉛、マグネシウム、ビタミンB1・B6・Eなどが、ふすまから取り出される胚芽(小麦胚芽)には、たんぱく質、食物繊維、鉄、亜鉛、マグネシウム、葉酸、ビオチン、ビタミンB1・B2・B6・Eなどが豊富に含まれています。
それぞれの栄養成分の機能についての説明は割愛しますが、1点上げるとすればビタミンB群は「皮膚や粘膜の健康維持を助ける」とされており、お肌が気になる方にはおすすめかもしれません。
このコラムの最後に、番外編として「胚芽」から芽を出させた「発芽玄米」についても簡単にご説明いたします。
発芽玄米とは
玄米(外皮:ぬかがついたままの状態)を水に浸し、芽が少し出た状態で乾燥させたものです。根が出てしまうと味が落ち、芽が伸びすぎてしまうと玄米の成長に栄養分が使われてしまうため、見極めが大切になります。
発芽をするとγ(ガンマ)-アミノ酪酸(GABA:ギャバ)が増加し、食味・甘みが上がります。
γ-アミノ酪酸(GABA)とは
アミノ酸の一種で、機能性表示食品(事業者の責任で、科学的根拠を基に商品パッケージに機能性を表示するものとして、消費者庁に届け出られた食品)の成分としても知られています。
※GABAの届出表示の一例(発芽玄米の効能を説明したものではありません)
・睡眠の質(眠りの深さ)の向上に役立ち、すっきりとした目覚めをサポートする機能があることが報告されています。
・高めの血圧を低下させる機能があることが報告されています。
以上胚芽を中心にご説明をしてきましたが、食べやすさ(おいしさ)を追求するあまり、豊富な栄養成分を見落としてしまうのは悩ましいところです。
ですので別の食品として考え、補ってみるのはいかがでしょうか。