前回は、遺伝子組換え食品について、ご説明しましたが、今回は、2023年4月1日より変更になっている遺伝子組換え食品の表示制度についてご説明します。
遺伝子組換え食品表示制度には、義務表示と任意表示があり、今回の改正は、任意表示制度になります。義務表示については、変更はありません。
遺伝子組換え食品の表示には、義務表示と任意表示があります。
義務表示
日本で食品としての安全性が審査済みの遺伝子組換え作物が存在する農作物9種および、これらを原料とする33商品群の加工食品について、遺伝子組換え農産物を使用している場合に、「遺伝子組換え」等の義務表示が必要に なります。
対象農作物
対象農産物 加工食品 | 加工食品 |
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大豆 (枝豆及び大豆もやしを含む。) | 1 豆腐・油揚げ類 2 凍り豆腐、おから及びゆば 3 納豆 4 豆乳類 5 みそ 6 大豆煮豆 7 大豆缶詰及び大豆瓶詰 8 きなこ 9 大豆いり豆 10 1から9までに掲げるものを主な原材料とするもの 11 調理用の大豆を主な原材料とするもの 12 大豆粉を主な原材料とするもの 13 大豆たんぱくを主な原材料とするもの 14 枝豆を主な原材料とするもの 15 大豆もやしを主な原材料とするもの |
とうもろこし | 1 コーンスナック菓子 2 コーンスターチ 3 ポップコーン 4 冷凍とうもろこし 5 とうもろこし缶詰及びとうもろこし瓶詰 6 コーンフラワーを主な原材料とするもの 7 コーングリッツを主な原材料とするもの(コーンフレークを除く。) 8 調理用のとうもろこしを主な原材料とするもの 9 1から5までに掲げるものを主な原材料とするもの |
ばれいしょ | 1 ポテトスナック菓子 2 乾燥ばれいしょ 3 冷凍ばれいしょ 4 ばれいしょでん粉 5 調理用のばれいしょを主な原材料とするもの 6 1から4までに掲げるものを主な原材料とするもの |
なたね | |
綿実 | |
アルファルファ | アルファルファを主な原材料とするもの |
てん菜 | 調理用のてん菜を主な原材料とするもの |
パパイヤ | パパイヤを主な原材料とするもの |
からしな |
※しょうゆ植物油などは、最新の技術により組み換え・DNA等が検出できない為、義務表示ではありませんが、任意表示をすることは可能です。この場合義務対象品目と同じ表示ルールにて表示します。
任意表示
遺伝子組換え農産物を使用していない場合は、遺伝子組換えに関する表示義務はありません。ただし、「遺伝子組換えでない」等の任意表示が可能です。
前制度では、分別生産流通管理が適切に行われている場合には、遺伝子組換え農産物の5%以下の意図せざる混入を認め、「遺伝子組換えでない」といった表示が可能とされていました。
2023年4月1日に変更された現行制度では、この点が厳格化され、分別生産流通管理をして、意図せざる混入を5%以下に抑えている大豆及びとうもろこし並びにそれらを原材料・加工食品には、適切に分別生産流通管理された旨の表示が可能になりました。
なお、大豆、とうもろこし以外の対象農産物については、混入率の定めはありません。分別生産流通管理をして完全に遺伝子組換えの混入がないと認められる対象農産物並びにそれらを原料とする加工食品にのみ「遺伝子組換えでない」「非遺伝子組換え」などの表示が可能になります。
表示方法
任意表示の変更内容
2023年3月まで | 2023年4月から | ||
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義務表示 |
遺伝子組換え農作物を使用している |
大豆(遺伝子組換え) (変更なし) |
|
遺伝子組換え農作物とそうでないものを分けて管理していない |
大豆(遺伝子組換え不分別) (変更なし) |
||
任意表示 | 遺伝子組換え農作物でないものを使用しているが、5%以下の遺伝子組換え農産物の意図せざる混入があるかも | 大豆(遺伝子組換えでない) | 大豆(分別生産流通管理済み)など |
遺伝子組換え農産物の混入がない | 大豆(遺伝子組換えでない)など |
上記のように表記をしなくてはならないのですが、任意表示はあくまでも任意の為、下記の様に表示をしない商品が最近では増えてきました。
2023年3月まで | 2023年4月から | ||
---|---|---|---|
任意表示 |
遺伝子組換え農作物でないものを使用しているが、5%以下の遺伝子組換え農産物の意図せざる混入があるかも | 大豆(遺伝子組換えでない) | (表示なし) |
遺伝子組換え農産物の混入がない |
今回の改正により、遺伝子組み換え作物が不検出という検査結果が出ている場合を除いて「遺伝子組換えでない」の表示ができなくなります。
混入していないことを証明するには原材料の輸入を非遺伝子組み換え作物のみを栽培している国に限定するか、専用の輸送体制を整える必要があるため、事業者にとってはコストの面でこれまでよりも大きくなる可能性があります。
遺伝子組み換え作物の安全性については賛否両論ありますが、不安を抱いている消費者にとってはより正確な情報を受け取ることが可能になります。
今までは、5%ルールに基づいて「遺伝子組換えでない」の表示をしていた商品も厳格にすると「分別生産流通管理済み」の表示に切り替えるメーカーが多くなっています。
一方で、このわかりにくい「分別生産流通管理済み」表示を見た、多くの消費者は、なかなか理解が出来ないという問題もあります。
我々消費者が、表示に対して、興味をもった上で今後、買い物をする必要が出てくるかと思います。