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【メーカーにエール】高橋製麺②小ロットだからこそできる対応力【パートナー応援特集】

使える原材料だけで、いかにおいしく食べられる麺にするかというのが難しい。

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高橋製麺(埼玉県鴻巣市)の創業は明治29年。乾麺の製造卸業を営む髙橋安五郎商店として誕生しました。昭和25年に髙橋製麺株式会社を設立。昭和38年11月に即席麺を製造開始。インスタントラーメン元年のことです。

毎日試食会を開き、居合わせる社員全員で品質を確認し、気づいたことがあればフットワークよく試作を繰り返す。現場の担当者のなにげない一言から改良のアイデアが出てくる。高橋製麺の麺づくりの姿勢を飯塚聡社長に伺いました。

 

●国内産小麦&無添加で麺をつくる技術力

──国内産小麦を使用していることも高橋製麺の特徴の一つですね。

飯塚(敬称略):国内産小麦自体はそんなに珍しくないんですよ。問題は価格と、添加物を使わずに麺にするのが難しい点です。

 

まず、外国産の小麦の最大の特徴はタンパク含有率が非常に高いことです。小麦粉には薄力、中力、強力とありますが、国内産の小麦において強力粉は高価で、場合によっては何倍も値段が違います。つまりタンパクが多い小麦粉というのは非常に値段が高いんです。一般的にラーメンは中力と強力の中間くらいのタンパク含有率のものを使いますが、このあたりは海外産には非常に安くて麺になりやすい性質の小麦がたくさんあります。

 

次に、国産で中力に分類されている小麦粉はタンパク含有が比較的少なく、ラーメンや、特に即席麺にはなりづらく、作りづらいんです。即席麺に合った国内産の小麦粉は数が少なくて、産地では東北から北海道で栽培される中力の小麦粉ぐらいしか使えません。代表的ものとして南部小麦は比較的タンパクがしっかりしているので麺にしやすいですが、当然値段は高くなります。

 

一般のメーカーさんの即席麺は「国産小麦」を謳っていても膨張剤、酒精、増粘多糖類などの添加物を加えていて、茹でた時においしく食べられるような固さ、ほぐれやすさみたいなものを出しています。そういった添加物を使わずに、本来麺にしづらい小麦粉をいかに麺にするかという部分がやはりうちの技術的な部分での最大の特徴になります。

 

──どういったところに技術的な力を入れているのでしょうか?

飯塚:茹でた麺をどんぶりに移して食べ始めるには最低2分かかります。つまり茹でる時間プラス2分後ぐらいが、本当に食べる最初の一口の固さです。そして人によって7、8分で食べる人も20分かけて食べる人もいますよね。添加物を加えれば何分たっても同じ状態で維持できますが、余計なものを入れず、天然の原料だけだと通常では5分、10分でぐずぐずになってしまいます。それを使える原材料だけでいかにおいしく食べられる麺にするかというのが難しいところで、そこに注力しています。

 

●麺もスープも「天然系」で対応する挑戦

──無添加でスープを作るのが大変だというお話もされていましたが。

飯塚:麺と同様で、調味料にしても添加物にしても、化学的に合成されたような不自然なものは避けています。スープに関しても天然の素材だけ使うという縛りがある中で作っておられますが、大変よくできています。実は麺もスープもこの「処方を開発する」部分が一番大変なんです。微調整に微調整を重ねるわけで、それをどこまで追究できるかにかかっています。2021年の新製品、プラントベースの「湯麺」のスープは期待以上の味で、スープのメーカーさんも、創健社の担当者さんも苦労されたんじゃないかと思います。

 

──最近はOEMでも天然系へのニーズが増えているのでしょうか?

飯塚:はい。最近では毎日のようにOEMのご相談の電話がかかってきますが、やっぱり今までとは違うお客様層が増えてきていますね。例えば、天然系の調味料ですとか、植物性100%ですとか、オーガニックですとか、お客様が「こういったものを作りたい」となってきた時に、ためらいなく引き受けられることが大切だと考えています。そういう仕様のものが求められるようにはなってきているので、認証を持っているだけでなく、対応できるノウハウを持っている必要があるかなと思いますね。

 

●現場の声を大切にフットワークよく改良

──飯塚社長が就任されてから麺づくりを徹底的に見直していると聞きました。

飯塚:長い歴史の中では、いつの間にか「なぜそうなっているか」ということを考えずに、「前からやっているやり方だから」という形で行われていることが出てきます。社長に就任して、そういう部分はもう一回見直して行こうよと声をかけました。コストを下げること、合理化という目的もありますが、よりおいしくするためで、お客様からの声も参考にしながら、気になる点の改善方法を探ります。

 

──具体的にはどういうことをしているのでしょうか?

飯塚:毎日、その日出来上がったばかりの麺の試食会を開いています。日々の品質の確認という面もありますが、工場の現場に立つ人から意見を聞く貴重な機会と考えています。ですから、どんなことでも気づいたことを報告してもらうようにしています。「今日は雨だったので水の量を調整しましたが、まだ多かったかもしれません」というような会話を毎日しています。実は長年解決できなかった問題も、そのやり方で原因を突き止めて改善することができました。今まで気になっていたことが解決して、みんな大喜びでしたよ。

 

──工場の人の意見を重視されているんですね。

飯塚:大事ですね。机の上で考えてたんじゃダメです。やっぱり現場の意見が一番ためになりますよ。そういう風にいろいろ処方の改良をしたり、仕様変更したりできるのはうちが小ロットで作っているがためにフットワーク良く対応できる点かもしれません。新しい機械をいれたらいいんじゃないかと言われることもありますが、結局人間です。仕上げの部分というのはいまだにまだ人間の感覚的なものです。特に麺は、一度袋を開けた時の形を見ていただきたいです。二つ折り麺、丸型麺などの成形がきれいにできているかを見ると、海外から輸入した麺と、国内のメーカーの麺を比べると、機械は同じ日本製なのに全然違うんです。つきつめれば人間だと考えています。

 

●高橋製麺株式会社|無添加即席めんを小ロット製造受託(OEM)

 http://www.takahashiseimen.com