高橋製麺(埼玉県鴻巣市)の創業は明治29年。乾麺の製造卸業を営む髙橋安五郎商店として誕生しました。昭和25年に髙橋製麺株式会社を設立。昭和38年11月に即席麺を製造開始。インスタントラーメン元年のことです。
創健社との長いパートナーシップ(平成9年から創健社の子会社化)だからこそ言えることがあります。即席麺の未来について、創健社に対して、自社製品について飯塚聡社長に考えを尋ねてみました。
●創健社仕様で湯戻し麺のカップラーメンに商機あり
──食のこれからについて、即席麺はどういう方向に向かうでしょうか?
飯塚(敬称略):毎日数件OEMの問い合わせの電話がかかってきますが、カップラーメンの湯戻し麺のご相談がほとんどなんです。これは作れるところは本当に製造設備が限られてしまうため、うちではできませんとお断りしています。まずそもそもお湯を注ぐだけで戻せる麺をつくることが大変なことに加え、それをカップに入れるというラインまで持っているところはほとんどありません。ですから、麺やスープに天然の素材を使うことにこだわって、しかも湯戻し麺のカップラーメンができるところはほとんどないでしょう。
飯塚(敬称略):毎日数件OEMの問い合わせの電話がかかってきますが、カップラーメンの湯戻し麺のご相談がほとんどなんです。これは作れるところは本当に製造設備が限られてしまうため、うちではできませんとお断りしています。まずそもそもお湯を注ぐだけで戻せる麺をつくることが大変なことに加え、それをカップに入れるというラインまで持っているところはほとんどありません。ですから、麺やスープに天然の素材を使うことにこだわって、しかも湯戻し麺のカップラーメンができるところはほとんどないでしょう。
けれどもそうしてお断りして、ご紹介できる会社をご紹介して、最終的に他は全部だめだった方が「袋麺でお願いします」と戻ってこられて、進めている商品がこの半年だけで何件もあります。コロナ禍のせいで、みなさん家で召し上がる関係もあるかもしれませんが、これからのトレンドはここにあると感じています。特に創健社のようなスペックで湯戻し麺のカップラーメンができたら間違いなくビジネスチャンスがあると思いますよ。
●創健社が掲げる「オーガニック&プラントベース」について
──創健社が今オーガニックとプラントベースで頑張ろうとしていることに対してメッセージはありますか?
飯塚:私が言うのもおこがましいですけど、世の中から見れば当然そちらの方向に向かっていると思っています。例えばプラントベースという考え方にしてみても、動物性のものを使わないわけで、原料が制約される中でいかにしておいしいものを形にするかが挑戦のしどころです。考え方がいくら正しくてもおいしくなければ選んでいただけません。相反したことで、形にするのはすごく難しい仕事だけれどやらなきゃならない。必要なものだと思います。
うちはOEMに特化しているので、お客様が望む仕様のものをいかに提供するかということが全てです。有機認証だけでなく、ハラール認証もとっていますが、「あれを使うな、これを使うな」でも麺にする、逆に「あれを使ってくれ、これを使ってくれ」でも麺にする、ご希望のものを作り上げるということが一番の使命ですよね。
●高橋製麺オリジナルの商品像とは
──高橋製麺オリジナルの商品に「鴻巣ラーメン」がありますが、これから新商品を開発する予定などあればお聞かせください。
飯塚:私個人としては、動物性原料であっても、しっかりした原材料を使ってより本格的な、より本物の味を出すという製品もあっていいと考えています。オーガニックやプラントベースに限らず、より安心して、よりおいしいものを欲している需要があるからです。親会社の創健社がいまはその方向のものをつくらないとなれば、役割として高橋製麺がそういうものを出すというのはあるかなと思います。ちなみに背脂とんこつラーメンの処方はもうちゃんと作って持っているんですよ(笑)。
──どんなラーメンなのかお聞かせください。
飯塚:実は、高橋製麺の仕事としてご当地ラーメンを考えています。全て埼玉県産原料を使って麺を作りたくて、さんざんチャレンジしましたが残念ながらノンフライ麺ではできませんでした。唯一できたのは埼玉県産のうどんによく使う強力を使ったものでしたが、これはめちゃくちゃコストがかかるのでとても原料に使えないんです。一方スープですが、醤油と味噌は埼玉県産の醸造元のものを使って処方開発までしました。創健社の中村社長からも「これ美味いな」という感想をいただきました。豚骨やチキンも入れたものなので、今の創健社さんの新商品では出せませんが、埼玉県産の原料を使ったご当地ラーメンとして高橋製麺が出すのはありうるかなと考えています。塩も塩麹を使えば埼玉県産にできるというアドバイスをもらって「なるほど!」と。実現したいですね。
創健社さんも取り扱っているマルシマさんの麺もOEMで作っていますが、仕様的には創健社と同等です。最大の特徴は尾道という地域を商品に謳っていることです。地域性を打ち出せるのは羨ましいですよね。すごく強いです。創健社が苦労して湯麺をつくったのは、横浜発祥だからと聞いています。その思いが届くといいですね。
──貴重なお話を、どうもありがとうございました。
飯塚:こちらこそ、ありがとうございました。