近年、消費者の食の安全意識・健康意識が高まったことにより、化学調味料不使用、保存料不使用の表示が増えてきました。この不使用表示について誤認等を与てしまっていることからガイドラインが発表されたのです。
誤認等とはどのようなものなのか、ケンコウくんと一緒に見てみましょう。
ー化学調味料不使用・無添加
健康的な食生活を心がけている方には、化学調味料不使用・無添加表示があるとそれだけでとても良い感じがしますね!
では、実際に化学調味料不使用・無添加表示がある商品の一括表示の原材料名欄をみてみましょう!
下記原材料名は、スーパーなどで販売されている商品で、パッケージに「化学調味料無添加」と表示されたビーフシチューの実際の原材料表示です。
原材料名 | 小麦粉(国内製造)、食用油脂(牛脂豚脂混合油脂、なたね油)、食塩、ポークエキスパウダー、野菜ブイヨンパウダー、チキンブイヨンパウダー、砂糖、トマトパウダー、ビーフブイヨンパウダー、でん粉、パン粉、酵母エキスパウダー、オニオンペースト、ミルクパウダー、ソースパウダー、トマトエキス、梅加工品(デキストリン、梅肉ペースト、梅酢)、ビーフブイヨン、ワインペースト、バター、香辛料、小麦グルテン酵素分解物/着色料(カラメル、紅花色素)、リン酸Ca、酸味料、乳化剤、香料、甘味料(スクラロース、アセスルファムK)、(一部に小麦・乳成分・牛肉・大豆・鶏肉・豚肉・りんごを含む) |
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表示を良く見てみると、確かに化学調味料(アミノ酸等)は使用されていませんが、/(スラッシュ)の後に明記されているように、その他の食品添加物が使用されている事がわかります。
このように、その他の食品添加物を使用しているのに、「化学調味料無添加」のような表示の仕方をしてしまうと、食品添加物の見分け方を知らない消費者は、「化学調味料無添加」という表記だけで、食品添加物が何も使用されていないと勘違いしてしまいます。
実は、こういった「化学調味料不使用」「無添加」などの表示方法の基準が今までは明確に定められていませんでした。法的基準がないため、各メーカーの自社都合で「化学調味料不使用」「無添加」の表示が行われており、消費者に誤認を与えているという状況になっていました。
そこで、2022年3月に消費者庁から「食品添加物不使用」表示について消費者に誤認等を与えないよう「食品添加物の不使用表示に関するガイドライン」が発表されたのです。(猶予期間終了2025年4月1日)
ー保存料不使用
化学調味料不使用と同じように、消費者の健康意識が高まり、保存料不使用表示の商品も増えています。食品添加物の保存料としては、ソルビン酸とその塩類、安息香酸とその塩類、プロピオン酸とその塩類、ナイシンが使用されている事が多いです。
これら「保存料」として登録している食品添加物を使わない代わりに「日持ち向上剤」として登録されている食品添加物を使用すると、「保存料不使用」表記が出来るという規則になっていました。
日持ち向上剤とは…
- 酢酸と酢酸ナトリウム・グリシン(これらはpH調整剤とまとめて表記されることがある)
- グリセリン脂肪酸エステル(中鎖に限る)
- チアミンラウリル硫酸塩
- リゾチーム など。
こちらも、「保存料不使用」表示で消費者に誤認を与えてしまうため「食品添加物の不使用表示に関するガイドライン」を用いて表示の見直しが必要になりました。
ー食品添加物の不使用表示に関するガイドラインとは
食品添加物の不使用表示に関するガイドラインとは、食品添加物不使用表示に関して、消費者に誤認等を与えないよう留意が必要な具体的事項をまとめたもので、食品添加物の不使用表示を一律に禁止するものではありません。
食品表示基準第9条に規定された表示禁止事項に当たるか否かを食品関連事業者等が自己点検を行えるようにしたものになります。
このガイドラインで、注意すべき食品添加物の不使用表示として10の類型に分けられました。
- 単なる「無添加」の表示
- 食品表示基準に規定されていない用語を使用した表示
- 食品添加物の使用が法令で認められていない食品への表示
- 同一機能・類似機能を持つ食品添加物を使用した食品への表示
- 同一機能・類似機能を持つ原材料を使用した食品への表示
- 健康、安全と関連付ける表示
- 健康、安全以外と関連付ける表示
- 食品添加物の使用が予期されていない食品への表示
- 加工助剤、キャリーオーバーとして使用されている(又は使用されていないことが確認できない)食品への表示
- 過度に強調された表示
創健社では、消費者に誤認等を与えないように、同一機能・類似機能を持つものも使用していない場合に商品に「化学調味料不使用」表示を行っていました。
しかし、「化学調味料」が、上記「2.」の食品表示基準に規定されていない用語になるため、「化学調味料」の用語は今後使用せず、例えば、食品表示基準に規定されている用語を使用して「調味料(アミノ酸等)不使用」の記載、商品によっては「不使用」表示自体を無くし「素材の風味を活かす」等の商品特長を記載に変更してまいります。