第1回は子どもたちに食べさせたいカレーの開発を通じて創健社と出会うまでの話でした。
第2回は「創健社とのコラボ、カメリナオイルの発見」と題してお届けします。
ー友利さんの「メディスキンフード」は、どれもお子さんに安心しておいしく食べてもらいたいというコンセプトで開発されているんですね
友利:はい。自分のためだけなら作らなかったかなと思います。大人なら「体に良くないから食べない」という選択肢がありますが、子どもは「だから食べない」というのは難しいじゃないですか。親が与えなければいいという考え方もありますが、それが子どもにとって幸せかというと、そうとも限りません。子どもが好む味というものは確実にありますから、やっぱりおいしくて食べてほしいですし。それなら安心して食べさせられるドレッシングやマヨネーズを作りたいと考えました。
ー創健社とのコラボレーションはどういう形で進めているのか、教えていただけますか?
友利:創健社さんはもともと日本で最初にべに花油を発売した会社ですし、さらにオレイン酸にフィーチャーして「べに花一番」を作った歴史があります。いろいろな技術や知識をお持ちなので、「御社の該当する商品のオイルのバランスをこう変えてください、スパイスを加えてください」とお願いすれば、その通りに対応していただけました。話が早いといいますか(笑)。
ー商品開発を進める上で大切にしていることは何でしょうか?
友利:まず私には「動物性を使わない」という方針がありました。別にヴィーガンとかそういう話ではありません。外食をすると、どうしても動物性の素材に多く含まれる飽和脂肪酸を摂り過ぎてしまいます。だから、あえて動物性の油脂を家で摂る必要はないという意味です。次に、植物オイルの必須脂肪酸の中で言うと、オメガ3もオメガ6もどちらも必要なのですが、今ほとんどの人はオメガ6が過剰になっています。だから極力バランスをとっていきましょうと考えて、オメガ6の代わりに創健社さんの「べに花一番」を使って、オメガ9に置き換えるという方針になりました。創健社さんの良質なオメガ9は私にとってすごく魅力的で、出会ってご一緒できたのは本当にありがたいです。
ー油に焦点を合わせるようになったのも、お子さんの食事がきっかけですか?
友利:それ以前にも、美容を通じて栄養学にとても興味を持っていて、オメガ3などの必須脂肪酸が良い状態の維持に影響を与えることがわかっていたのが一つ。子どもが生まれてからアレルギーについても勉強して、アラキドン酸というオメガ6がアレルギーに関与するというデータなどを見たこともきっかけになりました。油は、ホルモンの再生や脳細胞の働きなど、人間には必要不可欠ですし健康にも欠かせないのですが、良質な油とは何かについて意外と私たちは知らないんですね。奥が深い。けれど知らないといけない。そう考えて、少しでも正しい知識を伝えていきたいと思うようになりました。
一時期「油は全部体に悪い」と誤解された時期もありましたね。
友利:すべてダメっていうのはやっぱり間違っていますね。油は必要なもので、問題はそのバランスが崩れていることです。大事なのは何をチョイスするかです。私は「何々がダメ」と言うのではなく、「バランス良く食べてください」と言うようにしています。最近「これをやめましょう」とか「これ絶対ダメ」とか言う方がすごく目を引くんですけれども、医者の立場からするとそういうメッセージではいけないと考えています。
体のバランスは、いろんな栄養素が組み合わさって精巧に 整えられているので、何かだけを過剰に摂ったり何かを一切やめたりすることはお勧めできません。やっぱりバランスをとって食べることがすごく大切です。そう言うとよく「つまらない」と言われてしまうんですけどね(笑)。現代人は栄養のバランスが崩れているだけなので、その過不足をどう自分でリセットしてどう調整するかを身につけることが肝心です。
ーバランスのいいオイルという点で、「カメリナオイル」について友利さんはいち早くチェックされていたと聞きました。そのきっかけは?
友利:まず、自分自身もオメガ6をとり過ぎてオメガ3をなかなかとれないという悩みがありました。加工食品に関してはオリーブオイルを使ってオメガ6をオメガ9に置き換えられましたが、肝心のオメガ3をどう摂るかが課題でした。サプリがいいという方もいらっしゃいますが、どんなにいいサプリも市販されているオメガ3には酸化してしまう問題があります。個包装されている医療用の薬は大丈夫ですが、それは「薬」ですから誰でも手に入るわけではありません。
個人的にはオメガ3の豊富なえごま油を小さい容器に入れて冷蔵保存して使っていましたが、オメガ3は熱に弱いので生で使うことになります。そうするとくせがあるため、子どもにあげる料理に使うのはなかなか難しいんです。そこで、お魚料理ということになりますが、それもバリエーションに限界があります。そこで加熱してもオメガ3を摂れる方法を探るうちにカメリナオイルが見つかりました。
ーここでもお子さんのために用意する料理がポイントだったんですね。
友利:はい。調べるとカメリナオイルは脂肪酸の組成上、加熱しても壊れづらいことや、抗酸化成分がたくさん入っているので酸化しづらいことがわかりました。常温で保存できるわけです。「これはもうまさに魔法のオイルだな!」と思いました。でも当時は日本に商品がなく、調べたところ、カナダにあることがわかりました。たまたま私が英語の先生をお願いしている方がカナダ出身だったので、「カメリナオイルって知ってる?」って尋ねると「聞いたことはある」程度で、「スーパーフードで素晴らしいんだよ」と力説してもあまり通じませんでした。
ー「カメリナオイル」がスーパーフードだということを教えていただけますか?
友利:まず油の比率です。オメガ3とオメガ6が2:1もしくは4:1くらいの割合が理想と言われています。カメリナオイルはそのままで2:1なんです。家で使う油がサラダ油ではオメガ6ばかりになってしまいますが、これをカメリナオイルに替えていただくだけでバランスがよくなります。そこに例えば週に何回かお魚料理を加えていただければ随分変わると思いますね。
さらに抗酸化成分が入っているので、油と一緒に食べると吸収が良くなる脂溶性の成分のビタミンAやビタミンEなどを効率よく摂取できます。つまり毎日のお料理を食べるだけでサプリを摂るのと同じ効果があると言えます。むしろ酸化が心配なサプリより、カメリナオイルを使っていく方がいいのかではないかと、私は思っています。
ーご自身でもカメリナオイルの商品化を考えておられたと聞きました。
友利:カメリナオイルは加熱すると独特の香りがあります。私は好きですが、子どもは受け付けてくれません。だから炒め物などに使うには一工夫必要だと考えていました。最初「くせになるこだわりオイルのマヨネーズ」にカメリナオイルを入れようと思っていたのですが、マヨネーズを炒め物に使う時の香りが気になったのです。
そこで「油と言えば創健社さんだ」と問い合わせたところ、「実はカメリナオイルは一時期輸入しようとしたけれど実現しなかった」というお返事でした。私からは「絶対いいと思います」とお伝えしていたところ、創健社さんより精製したものをご紹介いただきました。これを試食したところ、全く普通のオイルと変わりません。これならもう私が商品化しなくてもこのままで完成形だと思いました。私としては、このカメリナオイルを多くの人に使っていただきたいです。今まで「油は控えめに」と考えていた人も、このカメリナオイルなら積極的に使って欲しいと思っています。
ー美容のためにも、健康のためにも、カメリナオイルを広めていきたいですね。次回は専門家として、母として友利さんが考える食の未来について伺います。(第3回)