しょうゆ

しょうゆにまつわるQ&Aの選び方ガイドの産地工場見学
Q&A 選び方ガイド 産地工場見学

醤油について素朴な疑問

しょうゆは何からできるの?
「大豆」「小麦」「塩」の3種類を使い、じっくり時間をかけて発酵・熟成させます。
しょうゆは、毎日の食生活のなかで、もっとも身近で基本的な調味料です。 主な原料は「大豆」「小麦」「塩」の3つです。この3種類を使い、じっくり時間をかけて発酵・熟成させて、しょうゆになるのです。
・大豆の力
大豆の主成分はタンパク質です。これが麹菌によって分解され、旨味成分のアミノ酸が生まれます。
・小麦の力
小麦の主成分はでんぷんです。これが麹菌の働きでブドウ糖に変わり、さらに乳酸菌や酵母によって有機酸やアルコールが作られます。
・塩の力
塩味のもとになるのをはじめ、麹菌・乳酸菌・酵母などの有用な微生物をゆるやかに働かせる働きがあります。
しょうゆを作る方法は?
麹から諸味(もろみ)を作り、撹拌(かくはん)などを重ねて、発酵・熟成させて作ります。
しょうゆは「麹(こうじ)が命」といわれます。しょうゆはQ3で紹介するように、いくつかの種類がありますが、最も代表的な「こいくちしょうゆ」(本醸造方式)ができるまでの工程は以下のとおりです。
蒸した大豆と小麦をほぼ等量にまぜあわせ、種麹を加えて「麹」を造ります。これに食塩水を加えて寝かせ「諸味(もろみ)」を作り、撹拌(かくはん)などを重ねながら、発酵・熟成させてつくります。
しょうゆにはどんな種類があるの?
代表的なものは「こいくちしょうゆ」「うすくちしょうゆ」「たまりしょうゆ」「さいしこみしょうゆ」「しろしょうゆ」の5種類があります。
それぞれ風味や味わいが違い、製造方法もさまざまです。風味の味わいの違いは、「大豆」「小麦」「塩」の配合の違いによります。
・濃口(こいくち)しょうゆ
全国の消費量の約83%を占める最も一般的なしょうゆです。塩分は約16 %。煮物、焼き物、つけかけなど広く使われます。大豆と小麦をほぼ等量、使用します。
・淡口(うすくち)しょうゆ
関西で生まれた色の淡いしょうゆで、全消費量の14%を占めています。塩分はこいくちしょうゆより約1割多く、素材の持ち味を生かすしょうゆです。塩分は約19%と塩を多めに配合しています。
・溜(たまり)しょうゆ
とろみと濃厚な旨味、独特な香りが特長のしょうゆです。おもに中部地方でつくられ、寿司、刺身のつけしょうゆ、照り焼き、佃煮の色つやを濃厚に仕上げたいときなどに使われます。大豆の配分を多めにしています。
・再仕込み(さいしこみ)しょうゆ
食塩水の代わりに山陰から九州地方にかけての特産しょうゆです。色、味、香りとも濃厚で「甘露しょうゆ」とも呼ばれます。
・白(しろ)しょうゆ
味は淡白ながら甘味が強く、独特の香りがある琥珀色のしょうゆです。発酵させず、発酵する前に圧搾(圧力を加えて絞る)のが特徴です。
しょうゆのもつ力は?
しょうゆには「消臭効果」「加熱効果」「静菌(殺菌)効果」「抑制効果」「対比効果」「相乗効果」などがあります。
・消臭効果
刺身にしょうゆをつけると生臭さが消えるのは、アミノ酸由来のメチオノールが食材の臭い成分に吸着し、消臭するからです。
・加熱効果
熱を加えると、アミノ酸と糖分がアミノカルボニル反応を起こし、香ばしさが増し、褐色色素の作用で照りがでます。肉や魚の照り焼きの色と香りがそれにあたります。
・静菌(殺菌)効果
しょうゆに含まれる塩分やアルコールは大腸菌などの増殖を止めたり、死滅させる効果があります。だから、しょうゆ漬けや佃煮は日持ちするのです。
・抑制効果
浸かりすぎてしまった漬け物や塩辛いものにしょうゆをたらすと、塩辛さが抑えられることがあります。これはしょうゆに含まれる有機酸類に、塩味を和らげる力があるからです。
・対比効果
甘い煮豆にしょうゆを加えると、甘味がひきたちます。あずきを煮るときに塩を加えるのと同じ効果です。
・相乗効果
だしにしょうゆを加えて、つゆや汁ものを作りますが、それによってしょうゆのグルタミン酸とかつお節に含まれるイノシン酸が働きあい旨味が深まるからです。両方の味が深まることを、味の相乗効果と呼びます。
しょうゆの保存方法は?
おいしさを保つためには、開封後は冷暗所(夏は冷蔵庫)に保存するようにします。
空気に触れたり、直射日光にあたったりすると風味をそこないます。おいしさを保つためには、開封後は冷暗所(夏は冷蔵庫)に保存するようにします。また、早く使い切るために、使用量にあわせた容量のものを買うこともお勧めです。
風味を活かす上手な使い方は?
香りを活かすために、しょうゆはできるだけ料理の最後に入れるようにします。
「さしすせそ」でしょうゆは一番最後になっています。これはしょうゆを煮詰めると、せっかくの香りが飛んでしまうからです。香りを生かすために、しょうゆはできるだけ料理の最後に入れるようにします。最初からしょうゆで作る料理は仕上げにもしょうゆを加えるのが香りを活かすコツです。
しょうゆの旨味のもとは何ですか?
大豆タンパクです。
発酵の過程で大豆タンパクが麹菌によって分解され、約20種類のアミノ酸に変わるとともに、うまみのもととなるペプチド類が生成されます。しょうゆは調味料のひとつと考えられていますが、実はしっかり味と旨味のある食べものなのです。

醤油と体の中での動き

しょうゆはからだの中でどんな働きをするの?
酵母や乳酸菌、ミネラルが多く含まれます。
伝統的な製法=天然醸造の長期熟成(ふた夏以上寝かせて、ゆっくり醸造)で造られたしょうゆには、発酵過程で発生する酵母や乳酸菌、ミネラルが多く含まれます。
しょうゆの塩分はどのくらいですか?
塩分はしょうゆの種類によって違います。
塩分の目安は以下の通りです。
種類塩分
こいくちしょうゆ約16%
うすくちしょうゆ約19%
たまりしょうゆ約16%
さいしこみしょうゆ約16%
しろしょうゆ約19%
このように、うすくちしょうゆやしろしょうゆは、塩分が多めですから、 塩分の取り過ぎにならないように使用量に気をつけましょう。 また、塩分を控えたい方には、「減塩しょうゆ」「うす塩しょうゆ」などが販売されています。
「減塩しょうゆ」と「うす塩しょうゆ」の違いは?
減塩しょうゆは、普通のしょうゆの塩分の50%以下で、うす塩しょうゆは、普通のしょうゆの塩分の80%以下です。
減塩しょうゆは血圧の高い人や減塩食を必要としている方向けに開発されたしょうゆです。塩分はふつうのしょうゆの50%以下で、厚生労働省の「特別用途食品」に指定されています。  これに対してうす塩しょうゆは、「塩分控えめ」をめざす方に適したしょうゆで、塩分はふつうのしょうゆの80%以下です。塩分の取り過ぎが気になるからといってうす塩しょうゆを使っても、通常より使用量が増えれば結果的に塩分を多く摂取することになるので、使い方に気をつけたいものです。
Q&Aを通して学んだ感想

私の父が高血圧症で塩分を控えなければならなかったため、 我が家では、ずっと減塩醤油を使用していました。 そのため、私にとって醤油の味といえば減塩醤油の味であり、 お袋の味といえば、薄味の料理が基本でした。
独り暮らしをはじめてから、濃口醤油を使い始めたのですが、 はじめはしょっぱく感じたけれど、コクが感じられて今でも常用しています。 醤油は、調味料の中では一番使うだけに、 おいしくいただけるこだわりの醤油を使いたいものです。
いつも使っているお醤油以外にも、薄口、たまり、しろ、再仕込み、と たくさんの種類があるのですね。 特に惹かれたのが「再仕込み醤油」! 醤油はしょっぱいものと思っているので、 甘くて濃厚といわれるこの醤油につけて刺身を食べてみたいとおもいました。

sokenshaショップ店長のおすすめ

sokenshaショップ店長の片倉です。
おいしく使っていただくために、選び方をアドバイス致します。

sokenshaショップ店長
片倉 太郎
神奈川県出身
店長歴15年
お客様への丁寧な対応に定評あり

醤油のルーツは、醤(ひしお)といわれる、食品を麹と食塩で発酵させた調味料や食品で、古代の中国で生まれたものです。

「じゃん」という読み方をすれば、なるほどと思われる方もいらっしゃるでしょう。
豆板醤、甜麺醤、XO醤、コチュジャン・・・・

醤(ひしお)には、原料となる食品が
肉のものを「肉醤(ししびしお)」、
魚のものを「魚醤(うおびしお)」、
果実や草、海草のものを「草醤(くさびしお)」、
穀物のものを「穀醤(こくびしお)」
と呼びます

麹と食塩で発酵させてつくる塩辛や味噌も元々は醤の仲間で、中国では現代でもこの意味で「醤」の字を用いています。
日本の醤油の原型は、13世紀頃に中国で作られていたものの製法が移入されたもので、穀醤のうち、大豆を原料とするものが醤油のルーツだと思われます。日本食の味付けの基本であり日本独自の調味料だと思っていた醤油も、ルーツをたどると中国だったんですね。

こういったルーツを持つ醤油ですが、その長い年月を経ることによって地方の食文化に適したものが作られてきたためでしょうか、地方ごとに好みが少しずつ違っているようです。 日本農林規格(JAS)によっても、濃口、薄口、溜まり、再仕込み、白醤油の5つに分類されていることは「Q&A」のコーナーに書いてあるとおりです。

さてさて、肝心の「醤油の選び方」ですが、先に述べたようにお住まいの地方ごとに好みが少しずつ違っているかと思いますので、今お使いの醤油のビンに貼ってあるラベルに注目してください。 「一括表示」と呼ばれる「品名・原材料名・内容量・賞味期限・保存方法・製造者」などが書かれている部分です。

「品名」の欄に、[こいくちしょうゆ][うすくちしょうゆ]などの醤油の種類が書かれていると思いますが、そのうしろに[(本醸造)]や[(混合醸造)]と記載されていると思います。[(本醸造)]と書かれてあれば合格。伝統的な製法でつくられています。

アミノ酸液などを使ってうま味を演出して醸造した[(混合醸造)]、アミノ酸液などを混合して製造期間を短くしてつくる[(混合)]などの方式もありますが、やはり私たち自然食派としては[(本醸造)]を使いたいものです。

次に注目したいのは、「原材料名」の欄です。「大豆、小麦、食塩」と記入されていれば、O.K.!
大豆は、「丸大豆」や「有機大豆」と表示されていれば、更にO.K.!
最近は「大豆(遺伝子組み換えでない)」と表示されていたりしますが、これは、輸入物の大豆を使っているものが多いために、消費者の皆さんが判断できるようにということのようです。やはり「遺伝子組み換え」は心配ですものね。

その「原材料名」に「脱脂加工大豆」とあるものは、大豆から油を抽出した残りカスを使っています。最近では発酵期間の短縮とコストの削減などから「脱脂加工大豆」を使用しているものも多くなっていますが、やはり私たち自然食派は、「大豆」を使ったものを使いたいですよね?

「大豆、小麦、食塩」以外に「米」も原料に加えている醤油もあります。九州のチョーコー醤油は、旨みと甘みのためにこだわりを持って「米」を使っているそうです。

その他にも、アルコールや保存料、甘味料などの添加物を使用しているものもありますが、できれば不必要な添加物を使っていない醤油を選びたいところです。
一部の減塩醤油には、アルコールを使っているものもありますが、減塩醤油自体が本来の醤油造りとは異なっているために、やむをえない部分もあるのでしょう。

今お使いの醤油をチェックしてみましたか?

ポイントは「本醸造」、「丸大豆」使用、そして無添加です。
あとは、時間がかかるかもしれませんが、いろいろな醤油を試して、ご自分の好みを見つけてください。

寛政元年創業、伝統200年の味と技を誇る「笛木醤油」

寛政元年創業以来、伝統的手法を守り続けて200年。
豊かな自然の中で丸大豆、小麦、天日塩のみを原料とし、 大きな杉桶でゆっくり醗酵・熟成させた金笛醤油が自然に醸し 出す豊かな香りとこくは、一切の添加物を必要としないまさに本物の醤油です。

小麦の産地埼玉で手作りでずっと製造してきました。昔と変わらない製法は今も醤油の味を守っています。

醤油は、大豆、小麦の原料処理から始まります。大豆はNK缶と呼ばれる蒸煮缶で蒸され、小麦は砂と一緒に炒り,割砕します。

また、天日塩は浄水器を通した水に溶かします。蒸した大豆は小麦と混ぜ合わせ、種麹菌を散布し温度・湿度を管理した室(むろ)の中で三日間かけて麹(こうじ)を造ります。

出来上がった麹を塩水と混合して杉桶の中に仕込みます。これを諸味(もろみ)と呼びます。仕込当初の諸味は麹菌の色で緑色です。

桶の諸味は適度にかいつき(攪拌)をして醗酵を促進します。熟成が進むにつれて諸味は醤油の色になり原料は分解されて旨味になります。

熟成した諸味は風呂敷(炉布)に入れて積み重ねます。積み重なった炉布は徐々に加圧され、炉布から醤油が出てきます。この醤油は生揚(きあげ)醤油と呼ばれています。熟成が進むにつれて諸味は醤油の色になり原料は分解されて旨味になります。

生揚げ醤油はオリ(濁り)を沈殿させ、火入れ(加熱)をして生揚げ醤油中の細菌の働きを止めると共に味や香りを整えます。1週間ほど清澄した後、ろ過装置を通して、使用するビンはビン洗浄機を通し、クリーンルーム内で醤油を充填します。充填した醤油にラベルを貼り、出荷されます。

調味料を上手に使って、おいしくいただきましょう

「さしすせそ+あ」
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