sokenshaショップ店長の片倉です。
おいしく使っていただくために、選び方をアドバイス致します。
片倉 太郎
神奈川県出身
店長歴15年
お客様への丁寧な対応に定評あり
sokenshaショップ店長の片倉です。
おいしく使っていただくために、選び方をアドバイス致します。
今から10年ほど前までは、「専売公社の塩」が、いわゆる「塩」でした。専売制によって国がその製造や流通を規制していたのです。
若い方々にとっては、「専売制」って聞いても、何の事だかわからないかもしれませんね。
専売制は、明治38年、日露戦争のころに施行されました。「敵に塩を送る」ということわざがあるように、有事の際の重要性ゆえに塩の取り扱いが法律化されたのでしょうね。
それでも、伝統的な塩田方式などによって国内生産が中心だったのですが、戦後の高度成長とともに塩の需要が高まり、製塩のコスト削減や効率化という名目で、「塩業近代化臨時措置法」という不思議な法律が、 昭和46年に施行され、日本の塩はイオン交換膜法という工業的な製法へと全面的に切り替えられてしまいました。
製法の切り替えとともに、日本伝統の塩田は全て廃止され、昔ながらの製塩法は姿を消しました。(これは、日本に自国で製塩をさせないために某国が圧力をかけた為という話もあります。「敵に塩を送る」を逆手に取ったわけですね。)
塩化ナトリウム99%以上という過精製塩の流通に危機を感じたのは、食養や自然食に携わっていた人たちでした。自然塩存続運動をおこし、国会や関係省庁へ請願をして許可されたのが、 「赤穂の天塩」、「伯方の塩」、「シママース」などの自然塩といわれるものです。原料は専売公社のものと同じメキシコやオーストラリアから輸入されたものでしたが、 精製方法が専売公社と違っていたわけで、原料の塩を水で洗って煮詰めてにがりを加えるといった方式でミネラル分を残したものです。専売公社からわざわざ認可を受けて製造していたわけです。
その後、自然塩に対する人々の認識が高まってきたにもかかわらず、日本国内で塩を製造することは許可されませんでした。
そんななか、「海の精」は、海水から直接つくる、ニガリ成分を含んだ自然塩の復活を願う人たちが、「試験製塩」という名目で許可を得て、伊豆大島で昔ながらの自然海塩を製造し、会員制をとって、配布という形で流通していました。
自然塩と呼ばれる塩は、こういった規制の中で生まれた言葉だと思いますが、平成9年に、一世紀近く続いてきた塩の専売制が廃止されて規制緩和されるとともに、数々の塩が誕生し、現在では1,000種類以上の塩が販売されていると言われています。
さてさて、前置きのほうが長くなってしまいましたが、「塩」の選び方です。
専売制の廃止以降、たくさんの銘柄の塩が売り出されていることは述べましたが、
現在市販されている塩は、大きく分けて、天日塩、せんごう塩、岩塩の3種類になります。
「天日塩」は、塩田で海水を蒸発させて作った塩で、日本の気候では作ることが難しいので、流通しているほとんどが輸入品ということになります。
半年ほどの時間をかけて海水の水分を蒸発させてできた塩を、さらに半年ほどかけて天日干しするなどの長い行程が必要です。そうやってできた塩は、もちろん純粋な塩なのですが、不純物やゴミが混ざっていたりするので、それを水洗いして乾燥機にかけて製品化するものがほとんどです。
地中海の天日塩 700g
地中海の天日塩さらさらtype 200g
「せんごう塩」は、海水を釜で煮詰めて作る方法です。国内で生産されている塩は、ほとんどがこの方法によります。
地元の海水や深層海水を煮詰めて作るものと、輸入された天日塩などを水に溶かして洗浄し再び釜で煮詰めて作るもの(再製せんごう塩)があります。
「岩塩」は、太古に海だったところの地層深くから掘り出した塩で、日本にはありませんので、少量のみ輸入されています。 この岩塩は、その地域の人たちは、そのまま食用にしていますが、輸入されて市販されているものは、 ほとんどが、その原料を溶かして釜で炊きなおし、再結晶させたたものです(正しくは、せんごう塩に分類されるそうです)。
最近では、中東や中央アジアで産出される宝石のように美しい色で結晶した岩塩を、ミルなどで引いておしゃれに使っている例もあります。
塩は食用塩公正競争規約に表現のルールが定められ、原材料、製法の表示が明確になっています。 それゆえパッケージに表記されている「原材料」「製法」の表示を良く見て、さらに塩の産地や製法に注目して選んでみるとよいでしょう。栄養成分表を見て、ミネラル分を比較して選ぶのもひとつの方法ですが、にがりを後から加えてミネラル分を調整しているものもありますので、自分で感じる「うまみ」を基準に、自分の好きな塩を選んでいくと良いでしょう。
通常家庭で使うには、調理用のほかに食卓用と2種類用意しておくと使いやすいと思います。
自然塩は、精製塩に比べて、にがり成分などによって、べたべたしていることが多いので、食卓において使うには、サラサラした焼き塩タイプが使いやすいと思います。もちろん、ご自分で塩を乾煎りしてビンに詰めてもO.K.ですよ!
イタリアのプーリア州では、ローマ時代より伝統的な塩田製法により、塩作りが行われてきました。 イタリアのアドリア海の海水を塩田に引き込み、約6ヶ月かけ太陽と風の力のみで塩を結晶化しています。 天日干し後、中国南京の工場に持ち込み、夾雑物を丁寧に除去し、さらに日本で検品後充填しました。
滋味豊かな地中海の海水を大型ポンプで塩田に引き込みます。 海水の取水口(写真上)、ポンプで水をんだ塩田全景(写真下)
塩が徐々に結晶化し始めます(写真上) 半年間じっくりと太陽と風と光の力で結晶化した収穫直前の塩田(写真下)
5mm-10mm程度になった塩を収穫します。(写真上)収穫された塩を塩山にし、約半年間天日干しにすることで塩を からします(にがりが程よく残ります)(写真下)
枯らした塩を洗浄し、粉砕した後に220℃の大型乾燥機で乾燥させます。 塩の工場への搬入口(写真上) 大型乾燥機(写真下)。
減退に包装された塩(写真上)はイタリアから出荷され、いったんベトナムゲアン省のある日本の製塩業者の現地子会社に入れ丹念に検品されます。 目視による異物検査(写真下)それからまた日本でチェックし、袋詰めされます。
最近、海水から作られた天日塩や平釜塩を使用していますが、 そういう塩は食卓塩と全く同じ成分で出来ていると思っていました。 天日塩や平釜塩の場合、湿り気があるので、水分が多いんだなと 勝手に納得していました。
よく味わってみると、 天日塩や平釜塩の方が食卓塩より甘味があってしょっぱくないですね。 この甘味は、ニガリ分のおかげだったのかもしれません。
体に必要なマグネシウムやカルシウムを自然に摂取できていたようです。 食卓塩の方が安いけれど、ニガリ分が取り除かれているということを知ると、 やっぱり海水から作られた天日塩や平釜塩のようなこだわりの塩を使って行きたいと感じました。 また、よく母から「塩分の取りすぎはいけません!!」と 注意されてきましたが、控え過ぎるのも考えものなのですね。
「体内の塩分濃度が低下すると、栄養を胃で消化したり、 小腸で吸収したりすることが阻害され、細胞が栄養を吸収できないと、 肌が乾燥するだけでなく、生命力が弱まる。」という回答を読み、 考えを改めさせられました。
塩を摂取しないことで、お肌にも影響を及ぼすとは、衝撃的でした。 健康を維持するためにも、マグネシウム、カルシウムをほどよく含んだ塩を 適度に取っていきたいと思います。