しお

しおにまつわるQ&Aの選び方ガイドの産地工場見学
Q&A 選び方ガイド 産地工場見学

塩について素朴な疑問

塩は何からできるのですか?
海水から作られています。
塩は海水から作られています。 海水をくんで塩を作る方法のほかに、岩塩や内陸の塩湖(えんこ)から塩を作る方法もあります。岩塩は、地層に形成された岩塩の鉱脈からとれます。 日本では岩塩や塩湖がないため、昔から海水を原料とした塩づくりが行われてきました。
海水から塩を作る方法は?
天日式や入浜式など気候に合わせた製法です。
最もポピュラーな塩の作り方は「天日式塩田」です。海水をため、太陽と風の力で時間をかけて塩の結晶を取り出します。この方法は、雨の少ない地域で用いられます。 日本のように雨が多い場所では天日式塩田は適さないため、海水から直接、塩の結晶を作ることはできません。そこで海水を濃縮して作ったり、入浜式塩田法や流下式塩田で作ったりしてきました。

天日式塩田
太陽光と風の力で塩の結晶を生産する。メキシコやオーストラリア西部など降水量が少ない地域で行われる。
入浜式塩田
塩の干満を利用して、海水を塩田に取り組み、天日により水分を蒸発させて濃い塩水を作る。
流下式塩田
表面に粘土を張り、ゆるい傾斜をつけた「流下盤」の上に海水を流し、太陽光で蒸発させて作る。近年はタワー式。
岩塩や塩湖から塩を作る方法は?
岩塩の鉱脈から取り出し、不純物を除いて煮詰めます。
地層に形成された岩塩の鉱脈から、岩の状態で結晶している岩塩を取り出します。また、井戸を掘って水を注ぎ、岩塩をとかして塩水として組み上げる方法もあります。掘り出した岩塩は、いったん水に溶かして土などを取り除いてから煮詰めて結晶させるのが一般的です。ドイツやオーストリア、カスピ海やヒマラヤ、モンゴルの岩塩などが有名です。塩湖は乾燥気候の土地にあります。湖の水を干して塩を作るのが一般的です。
塩の成分は何ですか?
ナトリウムと塩化ナトリウムです。
主成分はナトリウムと塩素の化合物である塩化ナトリウムです。水にとけている時は、ナトリウムイオン(Na+)と塩素イオン(Cl-)という2種類のイオンに分かれています。 なお、塩は白く見えますが、ひとつひとつの結晶は無色透明です。結晶の形は正六面体。かたさは石膏と同じくらいです。 イオンとは:物質をそれ以上小さくならないところまで小さくした状態(物質の細小の単位)を原子といいます。イオンとは、この原子が電気をもった状態のことです。+の電気は「陽イオン」、-の電気は「陰イオン」です。
塩のもつ力は?
保存性を高め、発酵作用も。
塩は、料理の味付けに使うだけでなく、さまざまな力を持っています。食物の酸化を防いで保存性を高めるほか、少量加えることで甘味を増す効果もあります。また、うどんやパンを作るとき、小麦粉に塩を混ぜると、コシを強めます。さらに、味噌や醤油、漬け物に塩を使うことで微生物の繁殖を調節して、発酵を調整する作用があります。
塩を選ぶポイントは?
マグネシウムやカルシウム等のニガリ分がほどよく含まれたものがお勧めです。
昔から「料理は火加減、水加減、塩加減」といわれているように、料理に塩は欠かせません。店頭にいくと、塩の種類の多さに驚かされます。基本はナトリウム以外のニガリ分を多く含むものを選ぶことをお勧めします(産地によって成分の差があります)。料理に合わせて、いくつか取り揃えるのもよいかもしれません。
「食卓塩」とこだわりの塩は何が違うの?
食卓塩はマグネシウムやカルシウムの含有量が少なくなっています
日本で売られている塩は大きく、「食卓塩」「食塩」と、いわゆる「こだわりの塩」(岩塩、天日塩、海水塩など呼び方はさまざま)に分けられます。 低価格で売られている「食卓塩」は、メキシコやオーストラリアから輸入した天日塩を再結晶させ、かたまりにくく加工したものです。製造過程でマグネシウムやカルシウムを含むニガリ分が除かれてしまいます。また、塩の流動性を保つ(吸湿防止の)ために、炭酸マグネシウムが添加されています。
「食塩」は海水からイオン交換膜法によって得たかん水(濃い塩水)を凝縮し精製しています。食卓用の他、製パン、製菓、水産物の加工などにも使われています。
一方、いわゆる「こだわりの塩」は、本来塩に含まれるニガリ分をほどよく残して製塩されているものを指すことが多いようです。

塩と体の中での動き

塩はからだにとってなぜ必要なの?
からだの基本機能を維持します。
塩分の摂り過ぎはからだによくないといわれますが、塩が人体に与える大切な役割については、意外と見過ごされがちです。
塩は生命を支える重要な成分です。
人のからだは水分が60%を占めます(成人)。そのうち3分の2は細胞の中にあり、残りの3分の1は血液やリンパ液に溶け込んでいます。食品や飲み物から摂取した塩分は、血液やリンパ液に溶け込み、細胞組織の浸透圧を一定に調節しています。
塩素は、胃から分泌される消化液(胃酸)の主成分であり、消化促進に大きな役割を果たします。
ナトリウムは小腸で栄養素の吸収を助けます。
このため、体内の塩分濃度が低下すると、栄養を胃で消化したり、小腸で吸収したりすることが阻害されてしまいます。また、細胞が栄養を吸収できないと、肌が乾燥するだけでなく、生命力が弱まります。
からだの代謝に必要なナトリウム、カリウム、マグネシウムなどは体内では作ることができません。塩には本来、マグネシウム、カルシウム等が含まれます(ただし、食卓塩として広く出回っている塩は、ナトリウム以外のマグネシウム、カルシウム、カリウムの含有が少なくなっています)。
塩を肌にぬると美容にいいと聞くけれど何故ですか?
塩の粒子のスクラブ効果が汚れを取り除き、肌をひきしめます。
ミネラルを含んだ塩を肌にぬるとすべすべになるのは、塩の粒子のスクラブ効果が、肌の角質や毛穴につまった汚れを取り除くからです。また、ひきしめ効果がお肌にハリを与えます。
煮沸した水に溶かして目の洗浄にしたり、ぬるめの湯にとかして入浴したりするとミネラル分によって血行や発汗が促進され、湯冷めしにくく、しかも肌がツルツルになるといわれます。
Q&Aを通して学んだ感想

最近、海水から作られた天日塩や平釜塩を使用していますが、 そういう塩は食卓塩と全く同じ成分で出来ていると思っていました。 天日塩や平釜塩の場合、湿り気があるので、水分が多いんだなと 勝手に納得していました。
よく味わってみると、 天日塩や平釜塩の方が食卓塩より甘味があってしょっぱくないですね。 この甘味は、ニガリ分のおかげだったのかもしれません。
体に必要なマグネシウムやカルシウムを自然に摂取できていたようです。 食卓塩の方が安いけれど、ニガリ分が取り除かれているということを知ると、 やっぱり海水から作られた天日塩や平釜塩のようなこだわりの塩を使って行きたいと感じました。  また、よく母から「塩分の取りすぎはいけません!!」と 注意されてきましたが、控え過ぎるのも考えものなのですね。
「体内の塩分濃度が低下すると、栄養を胃で消化したり、 小腸で吸収したりすることが阻害され、細胞が栄養を吸収できないと、 肌が乾燥するだけでなく、生命力が弱まる。」という回答を読み、 考えを改めさせられました。
塩を摂取しないことで、お肌にも影響を及ぼすとは、衝撃的でした。 健康を維持するためにも、マグネシウム、カルシウムをほどよく含んだ塩を 適度に取っていきたいと思います。

sokenshaショップ店長のおすすめ

sokenshaショップ店長の片倉です。
おいしく使っていただくために、選び方をアドバイス致します。

sokenshaショップ店長
片倉 太郎
神奈川県出身
店長歴15年
お客様への丁寧な対応に定評あり

今から10年ほど前までは、「専売公社の塩」が、いわゆる「塩」でした。専売制によって国がその製造や流通を規制していたのです。 若い方々にとっては、「専売制」って聞いても、何の事だかわからないかもしれませんね。
専売制は、明治38年、日露戦争のころに施行されました。「敵に塩を送る」ということわざがあるように、有事の際の重要性ゆえに塩の取り扱いが法律化されたのでしょうね。
それでも、伝統的な塩田方式などによって国内生産が中心だったのですが、戦後の高度成長とともに塩の需要が高まり、製塩のコスト削減や効率化という名目で、「塩業近代化臨時措置法」という不思議な法律が、 昭和46年に施行され、日本の塩はイオン交換膜法という工業的な製法へと全面的に切り替えられてしまいました。 製法の切り替えとともに、日本伝統の塩田は全て廃止され、昔ながらの製塩法は姿を消しました。(これは、日本に自国で製塩をさせないために某国が圧力をかけた為という話もあります。「敵に塩を送る」を逆手に取ったわけですね。)

塩化ナトリウム99%以上という過精製塩の流通に危機を感じたのは、食養や自然食に携わっていた人たちでした。自然塩存続運動をおこし、国会や関係省庁へ請願をして許可されたのが、 「赤穂の天塩」、「伯方の塩」、「シママース」などの自然塩といわれるものです。原料は専売公社のものと同じメキシコやオーストラリアから輸入されたものでしたが、 精製方法が専売公社と違っていたわけで、原料の塩を水で洗って煮詰めてにがりを加えるといった方式でミネラル分を残したものです。専売公社からわざわざ認可を受けて製造していたわけです。

その後、自然塩に対する人々の認識が高まってきたにもかかわらず、日本国内で塩を製造することは許可されませんでした。 そんななか、「海の精」は、海水から直接つくる、ニガリ成分を含んだ自然塩の復活を願う人たちが、「試験製塩」という名目で許可を得て、伊豆大島で昔ながらの自然海塩を製造し、会員制をとって、配布という形で流通していました。

自然塩と呼ばれる塩は、こういった規制の中で生まれた言葉だと思いますが、平成9年に、一世紀近く続いてきた塩の専売制が廃止されて規制緩和されるとともに、数々の塩が誕生し、現在では1,000種類以上の塩が販売されていると言われています。

さてさて、前置きのほうが長くなってしまいましたが、「塩」の選び方です。

専売制の廃止以降、たくさんの銘柄の塩が売り出されていることは述べましたが、
現在市販されている塩は、大きく分けて、天日塩、せんごう塩、岩塩の3種類になります。

「天日塩」は、塩田で海水を蒸発させて作った塩で、日本の気候では作ることが難しいので、流通しているほとんどが輸入品ということになります。
半年ほどの時間をかけて海水の水分を蒸発させてできた塩を、さらに半年ほどかけて天日干しするなどの長い行程が必要です。そうやってできた塩は、もちろん純粋な塩なのですが、不純物やゴミが混ざっていたりするので、それを水洗いして乾燥機にかけて製品化するものがほとんどです。

地中海の天日塩 700g>>
地中海の天日塩さらさらtype 200g>>

地中海の天日塩 700g

地中海の天日塩さらさらtype 200g

「せんごう塩」は、海水を釜で煮詰めて作る方法です。国内で生産されている塩は、ほとんどがこの方法によります。
地元の海水や深層海水を煮詰めて作るものと、輸入された天日塩などを水に溶かして洗浄し再び釜で煮詰めて作るもの(再製せんごう塩)があります。

「岩塩」は、太古に海だったところの地層深くから掘り出した塩で、日本にはありませんので、少量のみ輸入されています。 この岩塩は、その地域の人たちは、そのまま食用にしていますが、輸入されて市販されているものは、 ほとんどが、その原料を溶かして釜で炊きなおし、再結晶させたたものです(正しくは、せんごう塩に分類されるそうです)。
最近では、中東や中央アジアで産出される宝石のように美しい色で結晶した岩塩を、ミルなどで引いておしゃれに使っている例もあります。

塩は食用塩公正競争規約に表現のルールが定められ、原材料、製法の表示が明確になっています。 それゆえパッケージに表記されている「原材料」「製法」の表示を良く見て、さらに塩の産地や製法に注目して選んでみるとよいでしょう。栄養成分表を見て、ミネラル分を比較して選ぶのもひとつの方法ですが、にがりを後から加えてミネラル分を調整しているものもありますので、自分で感じる「うまみ」を基準に、自分の好きな塩を選んでいくと良いでしょう。

通常家庭で使うには、調理用のほかに食卓用と2種類用意しておくと使いやすいと思います。
自然塩は、精製塩に比べて、にがり成分などによって、べたべたしていることが多いので、食卓において使うには、サラサラした焼き塩タイプが使いやすいと思います。もちろん、ご自分で塩を乾煎りしてビンに詰めてもO.K.ですよ!

イタリア アドレア海の海水を原料にした「地中海の天日塩」

イタリアのプーリア州では、ローマ時代より伝統的な塩田製法により、塩作りが行われてきました。 イタリアのアドリア海の海水を塩田に引き込み、約6ヶ月かけ太陽と風の力のみで塩を結晶化しています。 天日干し後、中国南京の工場に持ち込み、夾雑物を丁寧に除去し、さらに日本で検品後充填しました。

滋味豊かな地中海の海水を大型ポンプで塩田に引き込みます。 海水の取水口(写真上)、ポンプで水をんだ塩田全景(写真下)

塩が徐々に結晶化し始めます(写真上) 半年間じっくりと太陽と風と光の力で結晶化した収穫直前の塩田(写真下)

5mm-10mm程度になった塩を収穫します。(写真上)収穫された塩を塩山にし、約半年間天日干しにすることで塩を からします(にがりが程よく残ります)(写真下)

枯らした塩を洗浄し、粉砕した後に220℃の大型乾燥機で乾燥させます。 塩の工場への搬入口(写真上) 大型乾燥機(写真下)。

減退に包装された塩(写真上)はイタリアから出荷され、いったんベトナムゲアン省のある日本の製塩業者の現地子会社に入れ丹念に検品されます。 目視による異物検査(写真下)それからまた日本でチェックし、袋詰めされます。

調味料を上手に使って、おいしくいただきましょう

「さしすせそ+あ」
Q&A

料理で必要な「さしすせそ+あ」。
その疑問や商品選びのコツをお伝えします。