古来より日本では米、麦、粟(あわ)、豆、黍(きび)を「五穀」と呼び、収穫の時期には「五穀豊穣」を願った祭りが全国各地で繰り広げられました。私たちの祖先は、縄文の時代から、お米と雑穀をベースに丈夫なからだを育み、日本独自の食文化を作り上げてきたのです。
古来より日本では米、麦、粟(あわ)、豆、黍(きび)を「五穀」と呼び、収穫の時期には「五穀豊穣」を願った祭りが全国各地で繰り広げられました。私たちの祖先は、縄文の時代から、お米と雑穀をベースに丈夫なからだを育み、日本独自の食文化を作り上げてきたのです。
さて、お米というと、真っ白い精白米をイメージしがちですが、そうではありません。田んぼでとれた米粒から籾殻(もみがら)を取り除いただけの「玄米」のことです。玄米は生きている穀物といわれます。そこから芽が出て、やがて実をつける種子、つまり「命の源」といえます。ちなみに、「白米」は玄米から、胚芽とぬか層を取り除いたものです。胚芽とぬか層にはビタミン類、食物繊維、ミネラル(カルシウム、鉄、亜鉛、マグネシウムなど)、必須アミノ酸、アミノ酸、微量栄養素、抗酸化物質など、からだに大切な栄養がぎっしりとつまっているのに、なんとももったいない話です。
また、ほんの数年前まで、「アワ・ヒエ・キビは鳥の餌」などと見向きもされなかった「雑穀」もここ数年、その栄養価の高さが注目され、人気が高まっています。雑穀には、たんぱく質、ビタミンB1、ビタミンB2、食物繊維、ミネラルがたっぷり。とりわけ現代人に不足しがちなマグネシウムがふんだんに含まれています。ちなみに、お米の歴史は古いですが、江戸時代までは大名や裕福な人たちだけが主食とし、庶民は雑穀を食べていたといわれています。米が主食となったのは明治以降のことです。
主食はからだの大本となるもの。何を選ぶかはとても大切です。生命力が強く、栄養価値の高い玄米をぜひ、主食に取り入れたいものです。玄米に抵抗があるという時は、胚芽米、分づき米(三分、五分、七分)を利用するのがいいでしょう。そして、これらにさまざまな雑穀を加えた「雑穀ごはん」で、バランスのとれた栄養たっぷりの主食を毎日、食べるのが健康の基本です。また、近年急速に普及してきた発芽玄米もお薦めします。玄米よりも食べやすくて、食味も良く、ギャバ(γ-アミノ酪酸)、IP-6(フィチン酸・抗酸化力を持つ)などが、玄米より増加している優れものです。一般的には、発芽玄米1に対して白米2の割合で炊飯して食べられています。なお、胃の消化機能が未成熟な幼児には、玄米は控え、胚芽米や分づき米、発芽玄米、雑穀ごはんがいいでしょう。
ビタミンA | 胃腸や気管支、目、鼻、のどなどの粘膜を強化。皮膚の状態を整える。視力障害を防止。多く含まれる食品:レバー、うなぎ、β-カロテンを多く含む緑黄色野菜、みかんなど |
ビタミンB1 | 糖質をエネルギーに変える。ごはんやパン、砂糖などの糖質の分解を助ける。疲労物質である乳酸を分解し、疲労を回復。精神安定にも働く。 多く含まれる食品:魚介類や豚肉、豆類、穀物、野菜など。 |
ビタミンB2 | 脂質の代謝を促進し、細胞の再生を促し、粘膜を保護する。「発育ビタミン」ともいう。 多く含まれる食品:豚肉、レバー、大豆や他の豆類、落花生、玄米ご飯、胚芽米、小麦胚芽など |
ビタミンB6 | タンパク質代謝を促進。アミノ酸の生成・分解促進に不可欠。 多く含まれる食品:かつお、まぐろ、さけ、さんま、牛レバー、さば、バナナ、いわしなど |
ビタミンB12 | 葉酸と協力して赤血球の産生にはたらく。神経細胞内のタンパク質や脂質、核酸の合成を助け、神経系を正常に働かせる。 多く含まれる食品:レバー、かき、さんま、あさり、しじみ、にしん、いわしなど |
ナイアシン | 皮膚や粘膜を丈夫にする。脳神経の働きを助け、血行をよくする。 多く含まれる食品:たらこ、かつお、まぐろ、あじ、さば、なまり、ぶり、レバー、玄米ごはんなど |
パントテン酸 | 副腎皮質ホルモンの合成や免疫抗体の産生にはたらく。善玉コレステロールを増やす。 多く含まれる食品:レバー、子持ちがれい、たらこ、いわし、納豆、干し椎茸など |
葉酸 | ビタミンB2と協力しあい、赤血球の産生や抗体の産生にはたらく。遺伝子物質DNA合成に不可欠。 多く含まれる食品:レバー、菜の花、枝豆、からし菜、春菊、ほうれんそう、かぶの葉など。 |
イノシトール | 細胞膜を構成するリン脂質の成分となる。脂肪の肝臓への過剰蓄積を防ぐ。 多く含まれる食品:発芽玄米、小麦胚芽、キャベツ、さつまいも、グレープフルーツなど |
ビタミンC | 細胞の合成組織であるコラーゲンの合成に働き、血管や皮膚、粘膜、骨を強くする。免疫力を強め、抗酸化作用、抗がん作用、抗ウイルス作用、解毒作用がある。血中コレステロールを下げる。 多く含まれる食品:アセロラ、グァバ、いちご、みかん、ネーブル、柿、キーウイ、グレープフルーツ、はっさく、いよかん、メロン、みかん、赤ピーマン、菜の花、芽キャベツ、ブロッコリー、かぶの葉、西洋かぼちゃ、からしな、ほうれんそう、さつまいもなど |
ビタミンE | 強い抗酸化作用で、活性酸素からからだを守り、老化・生活習慣病を予防する。毛細血管の血行をよくし、心疾患を予防する。 多く含まれる食品:にじます、うなぎ、あゆ、はまち、子もちがれい、たらこ、アーモンド、ひまわりの種、植物油、モロヘイヤ、だいこんの葉、小麦胚芽など。 |
ビタミンD | カルシウムとリン酸の吸収を助け、強い歯や骨を作る。 多く含まれる食品:さけ、にしん、かわはぎ、いわし、さんま、うなぎ、いさき、きくらげ、しいたけなど |
ビタミンQ (コエンザイムQ) | 新陳代謝を促進。強い抗酸化作用をもつ。 多く含まれる食品:レバー、モツ、牛肉、豚肉、かつお、まぐろ |
カルシウム | 健康な骨と歯をつくり、健康を維持する。筋肉の活動を調整し、細胞の分裂、分化を促す。 多く含まれる食品:干しえび、どじょう、わかさぎ、煮干し、ししゃも、乳製品、豆腐など大豆製品、ひじき、きざみ昆布、ごま、緑黄色野菜など |
鉄 | 赤血球に含まれるヘモグロビンの成分となる。不足すると鉄欠乏性貧血を招く。 多く含まれる食品:レバー、あさり、ひじき、かつお角煮、がんもどき、大豆、小松菜、きな粉、きくらげ、納豆、だいこんの葉など |
亜鉛 | DNAやタンパク質の合成にはたらき、細胞の新生を促し、ホルモン分泌を促進する。 多く含まれる食品:かき、牛肉、豚レバー、うなぎ、貝、そば粉、たらこなど |
マグネシウム | カルシウムとともに骨を強化し、筋肉の活動を調整する。 多く含まれる食品:アマランサス、アーモンド、大豆、ひじき、玄米ご飯、わかめ、干しえび、油揚げ、納豆、きな粉、豆腐、いわし、ごまなど |
セレン | 抗酸化作用や抗がん化作用を持つ。老化やがんを抑制する。 多く含まれる食品:わかさぎ、いわし、かれい、ねぎ、かき、玄米ご飯、小麦胚芽など |
カリウム | 細胞内の水分バランスを調節。ナトリウムの排泄を促し、血圧を下げる作用がある。 多く含まれる食品:昆布、大豆、さといも、トマトジュース、アボガド、おぼろ昆布、さつまいも、ひじき、納豆など |